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CDP担当者に聞いてみた! 第2回 CDPで解決できる課題とは?

● はじめに

 今やデータ統合やID統合の取り組みでは必須ともいえるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)。本シリーズでは「CDP担当者に聞いてみた!」と題して、DataCurrent社CDP担当者に聞いた構築や運用にまつわるコツ・ノウハウをまとめていこうと思います。

 これからCDPを使ってみたい、と考えている人や、すでにCDPを導入しているけどうまく使いこなせていない、と悩んでいる人にとって有益な内容にできればと思います。

 そもそもCDPとは何か、について知りたい方は過去記事「【いまさら聞けないデータ活用】CDPって?何ができるの?」も参考にしていただければ。

● 本シリーズの担当(プロフィール)

田中 芳樹
2008年4月に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)入社。Google Analyticsを始めとしたアクセス解析ツールやKrux、BlueKaiなどのDMPの実装・運用領域を担務。2021年2月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に出向し、事業会社の基盤構築・運用やオーディエンスデータの連携を担当。

● 第2回 CDPで解決できる課題とは

1:CDPの導入で解決できる課題は?

 前回第1回ではCDPの導入にはどのくらい時間が必要なのか、についてまとめていきました。ただ、CDPの導入時には他にも検討をしておいた方が良いことがありそうです。例えば、

 今自分たちが解決しようとしている課題はCDPで解決することができるのか?

 何のためにCDPを活用するのかはもちろん大事な要素で、そもそもこれは最初に検討するべき確認事項になるかもしれません。CDPも導入するとなるとやはり金銭的なコスト、労力的なコストのどちらも発生することになりますので、実際導入してみたはいいけれど、うーん、なんか思っていたのと違うな、みたいな事態に陥るのは避けたいですね。

 とはいえCDPについてよく知らないうちからCDPとの相性を調べると言ってもそれはなかなかに難しいわけで、であればここでCDPに詳しい人のアドバイスを聞いて、そのあたりを整理していきたいと思います。今回もCDPの導入提案や進行管理の経験豊富な同僚のYさん(仮名)に話を聞くことができました。

2: CDPが得意なケース – 自社顧客との1to1コミュニケーション施策の改善を含んでいる

 さっそくYさんに尋ねてみました。今までいくつものクライアント課題に向き合ってこられたと思うのですが、CDPにうってつけの課題だな、と感じることもあればそうでないケースもあったと思います。大まかに言って、どういった課題がCDPとの相性が良いのでしょうか。

幾つか要素があると思いますが、一つ目の要素としては

● 自社顧客との1to1コミュニケーション施策の改善を含んでいるかどうか

が非常に重要です。今ではEメールやアプリのプッシュ通知など、個客単位のマーケティング施策が行われるようになっていて、それを実施したい、あるいは改善したいという内容とCDPはとても相性が良いです。

 確かに、近年ではマーケティングオートメーションツールなども使われるようになっていますし、個客一人一人を意識した施策を実施したい、改善したいという声はよく聞くようになりました。

 最近公開された別コラム「【いまさら聞けないデータ活用】CDPとDMPの違いとは?」でもCDPの特徴は個客単位でのデータ管理にある、と書かれていましたし、その特徴を最大限活かすにはやはりデータ活用施策の方も個客単位の話になってくるのですね。

3. CDPが得意なケース – データ連携先候補が複数ある

 ほかにも要素を挙げるとなると何がありますでしょうか。

そうですね、広告施策やCRM施策にデータを活用したい、という時点でかなりCDP寄りな話になってくるのですが、その際に、

● データ連携先候補(プラットフォーム、システム)が複数ある

というケースは特にCDPのメリットを享受しやすいかなと思います。

 この場合のデータの連携先というと、DSPなどの広告配信プラットフォームやメール配信システムなどになりますよね。どうして複数あるとメリットを享受しやすいのでしょう。

はい、決して連携先が1つだとダメという話ではないのですが、
既存のCDPサービスの多くは他システムとの連携の仕組みを内包しています。

例えばTreasure Dataであれば広告ならGoogleやTwitter、メール配信ならMarketoといった代表的なサービスとの連携が仕組みとして用意されているのです。

1つくらいの連携先であれば、自分でターゲットユーザーデータのファイルを都度用意してアップロードするなどで対応することもできると思いますが、これが複数となってくると、ファイルのフォーマットも連携先で異なりますし、手動で対応するにはかなり負担が大きくなってしまいます。

 なるほど、CDP内に他システムとの連携の仕組みがすでに組み込まれているので、連携先が多ければ多い分だけ、データ連携にかかる負担が相対的に軽減されるというわけですね。

はい。このあたりはデータを集める、まとめる部分も同様ですね。

● 施策に活用したいデータがあちこちに散らばっている

ようなケース、言い換えれば個客との接点を多数持っているほど、CDPの力が発揮されるようになると思います。Webサイトやアプリだけでなく、カスタマーサポートのデータ、アンケートデータ、オフラインの購買データに至るまで、さまざまな顧客情報がデータとして残るようになってきましたので、そのようなケースは今は起こりやすくなってはいるのかなと思います。

4. CDPが不得意なケース – 活用する領域が限定されている

 これまでの話で、CDPはやはりCRM領域に寄っているというか、顧客獲得のマーケティングファネルでいう認知獲得にあたるような上流の領域よりも、会員登録後のロイヤリティ醸成にあたるような下流の領域で力を発揮するのかなという印象を受けました。

そうとも言えるかもしれません。
けれど、CDPは既存の優良顧客のデータから類似顧客を発見し、新規顧客の獲得施策を改善する、というような活用方法もあります

マーケティングファネルの上流部でも十分にCDPが力を発揮できる領域は存在しますね。
CDPはかなり活用する領域を選ばないサービスだと思います。

 確かに、そういう活用事例もCDP周りでは耳にするようになってきました。

ただ、活用する領域を選ばないと言っても、
実際に活用する領域が限られていたり、取り込むデータの種類が限定的な場合はあまりCDPと相性が良くないケースもあります。

過去に私が相談をいただいた例では、Webサイトへのアクセスをもとにいくつかのユーザーグループのデータを作成してリターゲティングのバナー広告配信に活用したい、という話がありました。
もちろんそれはCDPの正しい使い方の1つにはなるのですが、問題はCDPで行いたいことがその1点のみだったのです。

 なるほど、CDPで対応できる内容ではあるけれど、それだけに終始してしまうと他にも備わっているCDPの強みがくすぶったままになってしまうと。

はい、リターゲティングバナーの場合、最終的にはCPCやCPAの評価の話になってくると思いますが、CDPのコストも含めてその評価を行うと、それだけではどうしても価値を見出しにくい話になってしまうかと思います。

他にも、サイト来訪者の特徴(例えば、新規か再来訪かなど)に応じてLPのコンテンツ表示を切り替えるUX最適化の領域では、CDPをコンテンツ表示条件のトリガーとして使うこともできるのですが、それだけをやるためならCDPではなく、その活用方法に特化したサービスを利用したほうがメリットが大きいケースも考えられます。

 理解しました。改善したい施策の内容とCDPのサービス領域がミスマッチになっていないか、に気を付けたほうが良さそうですね。

5:CDPの導入検討時に整理したいこと

一言で「CDPの導入」と言っても

● すでにパッケージ化されたCDP(Treasure Dataなど)を導入する

● GCP、AWSなどを用いてスクラッチに近い形で組み上げる

というような異なるパターンがあります。
DataCurrentではどちらも支援できるようになっていますが、どちらにしても相性の良い課題、良くない課題は存在します。

わかりやすい例では、先に話に挙げた「連携先が複数ある場合」ですね。
連携の仕組みが組み込まれている前者、パッケージ化されたCDPの導入の方がメリットを生み出しやすいです。

 そして課題によってはそもそもCDPではなく別のサービスの方が良い場合もあると。

はい、なのでCDP導入を検討する際は先述の点なども鑑みながら、
自分達が行いたい施策は何なのか、どの部分を改善したいのか、その内容や範囲を明確に整理しておくことが必要だと思います。

そのあたりが明確でないままCDPを導入しても、なまじCDPの対応領域が広い分、その有効性をフルに活用できないままになってしまう事態に陥りやすいので注意が必要です。

 確かに。この点はCDPに限らないかもしれませんね。対応領域が広く、機能を多く備えたサービスは今後も幾つも登場してくるでしょうし、そういったサービスの導入を検討する際はこの点を意識しておきたいです。

 Yさん、色々と教えてくれてありがとうございました!

● まとめ

  • CDPは顧客との1to1コミュニケーションの改善が得意なソリューション
  • データ連携先が多数ある場合はパッケージ化されたCDPサービスの導入にメリットが生まれやすい
  • 活用領域が限定的になるとCDPの強みが十分に活かされない危険性がある
  • 事前に実施したい施策の内容と範囲を明確に整理しておくとCDP導入是非の判断がしやすくなる

 弊社では、新規データソースの連携方法の整理や実際の連携作業、開発といったことから、既に連携しているデータのトラブル、ご相談まで幅広くサポートしています。
お困りごとございましたらお気軽にご相談ください。

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本件に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
info@datacurrent.co.jp

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