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デジタルマーケティングの未来|来るCookieレス時代への対応を考える

はじめに

Google ChromeやSafari等の主要な各ブラウザにおいて、Cookieの廃止が本格化し、デジタルマーケティング業界には、大きな変化が訪れようとしています。
これまで、Cookieは長年にわたってデジタルマーケティングの基盤として機能してきましたが、プライバシー保護の観点からの懸念や法的規制の厳格化により、その役割が変わろうとしており、今後この新たな局面に直面するデジタルマーケターにとって、対応策を講じることは極めて重要となっていくでしょう。

そのため、本コラムでは、デジタルマーケターの方々が来るCookieレス時代において適切な対応ができるよう、現在のCookie規制状況とその影響、それに対する対応策について弊社視点から解説いたします。

Cookie規制状況(2024/5/13時点)

日本のシェア率の9割を占めるSafari、Chrome、Edge、Firefoxにおける規制は下表の通りとなっており、これらのブラウザ全てにおいて3rd Party Cookieは今後利用が制限される見込みです。
また、1st Party Cookieについても、Safariでは既に7日間で削除される形に規制されており、今後Chromeや他ブラウザでも制限を受けることが予測されます。

各ブラウザのCookie規制状況

※「日本のシェア率」はstatcounterより作成

【参考】

  • Chromeでは、2024年4月23日に「Chrome でのサードパーティ Cookie の段階的廃止に関する最新情報」として、3rd Party Cookieの規制を2024年後半から2025年初頭に延期することを発表しました。
    結果として、3rd Party Cookie廃止に猶予ができる形となり、2024年後半はデジタルマーケティングに関わる様々なステークホルダーが技術検証等を行い、Cookie規制の影響の見通しを立てていくことが予測されます。
  • Edgeでは、2024年3月に「New Privacy-Preserving Ads API coming to Microsoft Edge」にて、今後3rd Party Cookieの非推奨化の検証を行い、最終的な廃止に向け取り組むことを発表しました。
    結果として、主要4ブラウザ全てにおいて3rd Party Cookieが制限される形となりました。

Cookie規制後の影響について

①デジタル広告領域


デジタル広告においてはCookieを用いたターゲティング配信、広告の配信設計~配信後の運用・効果測定までのトラッキングに制限が発生し、従来の手法・技術に依存した状態では広告効果が大幅に低下することが予測されます。

Cookie規制後のデジタル広告について

②アクセス解析(Safari)領域


Safari 16.4アップグレードのITPでは、1st Party Cookieに関する新たな制約が加わり、再来訪ユーザーの識別やドメインを横断した計測が制限される形で影響が生じています。

Cookie規制後のアクセス解析について

③見込顧客・既存顧客の分析領域


ログイン・新規会員登録していないサイト来訪者の属性や興味関心のある情報について把握できず、潜在顧客や見込顧客の獲得施策への影響が予測されます。
また、ログインや会員登録等を行っている既存顧客であっても外部データを用いた既存顧客の深掘りやペルソナ像の可視化が限定的となり、自社データによる可視化のみではサービス改善やターゲット策定、ターゲットのインサイトに応じた施策の検討にも影響が生じることが考えられます。

Cookie規制後の顧客分析について

※モバイル広告識別子(ADID、IDFA等のモバイル端末に付与されている識別子)を取得している場合は、Cookie規制後も従来通り広告や分析に利用することが可能です。

Cookie規制後の対応策について

上記のようなCookie規制後の影響に対し、デジタルマーケティング領域では下記のような対応策が検討/検証されています。

①個人データ(1st Party Data)の活用


従来のデジタルマーケティング業界が3rd Party Cookieに依存していることから、自社内に保管されているユーザーの電話番号、メールアドレス、住所等の個人データを用いた広告配信や分析が検討されています。
例えば、Googleでは、Ads Data Hub等のデータクリーンルームやカスタマーマッチ等のメールアドレスを用いた広告リストの作成等が行われています。

※弊社でも外部データと突合するデータクリーンルームとして業界に先駆けて2022年9月に『Anonymous Connect』をリリースしており、個人データの活用は今後ニーズが高まっていくことが予想されます。

一方で、個人データを用いた広告や分析には、個人データの利活用範囲の拡大にあたって規約の変更や、ユーザーからの再同意が必要なケースも多く、法律的なアプローチとそれに対応するシステムの開発が必要となります。

※個人データ活用におけるプライバシー関連の整理については、弊社コラム「【データプライバシーコラム】CDP活用での確認するべきプライバシー周りについて」にて解説しておりますので、個人データ活用を検討される際は是非ご確認ください。
また、規約改定後の再同意取得については、「データプライバシーコラム】規約改定後の再同意取得の課題について」に課題/検討ポイント等を整理しておりますので、具体的な対応方法を検討される際はこちらも合わせてご確認いただけますと幸いです。

②共通ID(次世代IDソリューション)の導入


共通IDとは、ユーザーに対して3rd Party Cookieの代替手段としてIDを生成するソリューションのことを指し、メールアドレス等の確定情報からIDを生成する「確定ID」とIPアドレス・ブラウザの種類・OS等の複数情報を組み合わせてユーザーを推定してIDを生成する「推定ID」の二つがあり、特に「推定ID」は日本市場では3rd Party Cookieと同様の利用ができると注目を集めています。

※「確定ID」の導入の場合は、①個人データ(1st Party Data)の活用と同様に規約変更とユーザーの再同意取得が必要となるケースがあります。

代表的な共通IDは様々なものがあり、グローバルで高いシェアを確保しているID5を筆頭に様々なID技術が日本市場において開発/検証されております。

※ID5の解説については、弊社コラム「Cookieに依存しないための代替ソリューションとは?ユニバーサルID「ID5」に迫る」をご確認ください。

③Safariで導入されているITP規制に対応したCookie開発


Safari 16.4アップグレードのITP規制では、3rd Party Cookieによるクロスドメイン分析は全面的に廃止され、サーバーサイド Cookie(SSC)も発行の方式によっては規制対象となりました。
そのため、ITP規制に対応したCookie開発として、企業のWEBサーバーを用いたサーバーサイドCookieを開発することで、クロスドメイントラッキングだけでなく、8日以上経過した再来訪ユーザーの紐づけを可能にした技術開発が行われています。

※サーバーサイドCookie(SSC)とは・・・一般的な1st Party Cookie(ブラウザで付与されるCookie)が規制されたことによって開発されたCookie付与機能であり、ブラウザではなくWebサーバーが発番することでCookieの有効期間を7日間から400日間に伸ばした技術のこと。

ITP規制や開発内容については弊社コラム「Cookie有効期間を延ばすことが可能に!「最新ITP対応Cookie」のご紹介」をご確認ください。

④その他


その他にも下記のような対応策や再注目の動きが活発化しています。

  • 大手プラットフォーム(PF)の提供するAPI利用
    Google社のPrivacy Sandbox 、Meta社のコンバージョンAPI(CAPI)等、大手PFが従来通りのターゲティング広告や広告効果計測を実現するソリューションを提供しています。一方で、大手PFの独占状態になりやすく、PFの制約やバージョン変更等に影響を受けやすい傾向があります。
  • モバイル広告識別子への再注目
    従来から分析や広告配信に利用されているモバイル端末に紐づく広告識別子が再注目されています。
    結果として、アプリ保有企業は広告識別子の取得、アプリ未保有企業ではクロスデバイス変換を用いて広告識別子を蓄積しておく、等を行い、来るCookieレスに備えています。
    但し、最新のiOSバージョンではオプトイン同意が必須となっており、AndroidでもGoogleがCookieと同様の規制を行う可能性はあるため先行きは不透明です。

さいごに

今回のコラムでは、来るCookieレス時代に向けて2024年後半以降どのような対応策を行っていくべきかデジタルマーケターの方々が模索していくにあたって、Cookie規制状況とその影響、それに対する予測される対応策について記載させていただきました。

今後、デジタルマーケターの方々は、Cookieレス時代における戦略の再構築が求められ、Cookie規制の状況やその影響を注視し、個々のビジネスに最適な対応策を迅速に採用することが不可欠となるでしょう。
また、従来の手法にこだわらず、新たなテクノロジーやアプローチを積極的に取り入れることも重要となります。未来に向けての準備を怠らず、変化に対する柔軟性と創造性を持ち続けることが、今後のCookieレス時代という脅威において、他社と差別化や優位性の確保をする機会となっていくでしょう。

弊社では、データビジネスコンサルティングの一環として、Cookieレス後の対応策の啓蒙活動や最新のテクノロジー及び弊社独自開発ソリューションを用いた検証、Cookieレスに対応したマーケティングPDCAの再設計を支援しています。Cookieレスが自社にどのような影響があって、何を対策をすれば良いのか、最新情報、もっと詳しく知りたいといった企業様はお気軽にお問合せください。

■DataCurrentについて

生活者主体の考え方に基づくデータ活用を推進する専門会社として2019年6月3日に設立いたしました。
CDP導入支援のみならず、データ戦略設計から分析、広告配信、データプライバシーに関するアドバイザーサービス、新事業立ち上げサポートまで お客様の課題に沿ったデータ活用推進に必要なサービスを一貫してご提供しています。

今後もDataCurrentは、データ基盤の構築支援からビジネスでの活用まで、データを起点とした戦略立案・実行をワンストップで支援し、企業のデータ活用の推進に貢献して参ります。

【本件またはリリースに関するお問い合わせ先】
DataCurrent 広報
E-mail:info@datacurrent.co.jp

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