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2024年10月23日イベントレビュー|Think with fluct for Publisher「デマンドのリアルと未来」

はじめに

昨今、プライバシー保護やセキュリティリスクへの懸念から、Cookieに対する忌避傾向が高まり、ユーザーがより安心してウェブを利用できる環境を求める声が強まっています。実際、ウェブブラウザのSafariでは3rdパーティCookieが規制対象となり、Chromeでも最終的に廃止は見送られたものの、当初のリリース予告によりCookie依存型の広告配信の不安定さが浮き彫りになりました。

こうした市場状況を踏まえ、弊社グループ会社である株式会社fluctがSSPの立場から、広告代理店やDSP/DMPといったアドテクノロジー事業会社を招き、パネルディスカッション形式で現在の取り組みや今後の展望について意見を交わすイベントが10/23に開催され、セッションテーマ1にDMP事業者とクライアント様とのコンサルタントの立場として弊社代表取締役社長の多田も登壇いたしました。

業界をリードする企業同士の対話を通じて、変化する広告環境への適応策や、効果的なデータ活用のあり方についてイベントレポートとしてご紹介しておりますので、ぜひご覧くださいませ。

イベント当日の様子

【イベント概要】

開催日時2024年10月23日(水)17:00~19:00 ※懇親会あり
会場虎ノ門ヒルズステーションタワー36F
HALL A/B ※オフライン開催
参加方法完全招待制
イベント主催株式会社fluct
イベントテーマThink with fluct for Publisher「デマンドのリアルと未来」
パネル
ディスカッションテーマ
改めて考える、「Cookieレス対策」とデータ活用

登壇者:
・データ事業者
 ㈱インティメート・マージャー(以下、IM) 簗島 氏
 ㈱データカレント(以下、DC) 多田 氏
・DSP事業者
 The Trade Desk Japan㈱(以下、TTD) 白井 氏
 SMN㈱(以下、SMN) 坂口 氏
・SSP事業者
 ㈱fluct(以下、fluct) 佐藤 氏
1st Party Dataを活用した次世代デジタルマーケティング

登壇者:
・広告代理店事業者
 ㈱電通ランウェイ(以下、ランウェイ) 揚妻 氏
 同社 アイソム 氏
・SSP事業者
 ㈱fluct 黒田 氏

トークテーマ1:改めて考える、「Cookieレス対策」とデータ活用

本セッションでは、Chromeの「3rd Party Cookieの廃止の中止」のニュースが流れたものの、Safariの規制や、Chromeの「廃止の中止」の先にある今後何かしらの動きに対し、“これから”何をすべきか?について対談されました。
下記では、セッションで話された内容から得られたエッセンスを箇条書き形式にてご紹介いたします。

#01_実際に「Cookieレス対策」、何をしてる?

  • Cookieレス対策例
    • DSP/DMP/SSP等のアドテク事業会社に共通して、ID5、IM-UID、UnifiedIDといった共通ID※を採用している。
    • DSP/SSP事業者では、Google社のPrivacy Sandboxの対応を進めている。
    • クライアント視点では、Safari 16.4で採用されているITPの1st Party Data規制の対応策として、『ITP対応ソリューション』としてクロスドメイントラッキングのアクセス解析ソリューション提供を行っている。
  • Cookieレス対策をしていて各社が感じていること
    • DSP事業者
      代替ソリューションをクライアントへ提案した際に、テスト枠がすぐに埋まってしまう等、クライアントの感度がとても高いことに驚いた。
      Cookie対策の説明と代替機能の提供はDSPの立場として行っていく予定。
    • データ事業者
      7月にChromeの3rd Party Cookieの廃止が撤廃されたが、やはり日本ではiPhoneの使用率が高いという点でポストクッキー、Cookieレス、といったソリューションにニーズ があるように感じる。
      また、広告代理店でも、Cookieを用いた広告が利用可能なブラウザ(Chrome、Edge等)が半分を占めてはいるものの、Cookieが利用できないブラウザ(Safari、Firefox等)のシェアも半分を占めているため、両方のブラウザを横断して広告配信をするために二軸のハイブリッドに考えていく必要があると思う。

※補足※

  • 共通IDとは
    3rd Party Cookieに依存しないターゲティング広告や効果計測、プライバシー等に配慮した代替ソリューションのこと。
    弊社では、共通IDソリューションとして世界で最も利用されているID5を採用しております。
共通IDについて

ID5については以下もご参考ください。
Cookieに依存しないための代替ソリューションとは?ユニバーサルID「ID5」に迫る
Cookieレス後もサイト顧客分析に活用できる!ID5 IDで正確な顧客理解【飲料メーカー様事例】

  • ブラウザの規制状況
    ブラウザの規制によってはSafariユーザーはほぼ制限がかかっている状況
ブラウザの規制状況について

※2024/11/08時点

#02_現在のアドテク業界の潮流の中で、広告配信及びデータ活用はどう変化していくか?

  • Cookie規制の廃止は延長されたものの、Cookieレス市場は上昇傾向
    • データ事業者
      2024年7月以降、Cookie規制の対策をするニーズが減少傾向と思われたが、2024年7月以降も流通ボリューム等は順調に伸長傾向である。
    • DSP事業者
      2023年と2024年で比較した場合、Safariにおいて、CPM単価が約4倍伸長した実績がある。
      これは実際の買い付けが増加傾向のため、共通IDによる学習が進み、リターゲティング等も可能になったという裏付けになっている。
      そのため、今後Chromeも「廃止の中止」の先にある何らかのCookie規制によって必ず同じ運命を辿ると推測している。
  • 今後はPublisherを起点としたデータ活用が主流に
    • これまで3rd Party Cookieを使っていたため、デマンド側にてデータ活用が可能だったが、今後は完全に使えない未来を見据えた場合、クライアント側がターゲット層にリーチしたいというニーズ自体は変わらないため、メディア側が保有している1st Party Dataも活用されていくと予想する。

#03_その中で媒体に期待すること

  • 積極的なソリューションの活用・データ連携を推奨
    • SSP/DMPのアドテク事業者のソリューションでは、メディアのCPM単価を上げるために様々な機能を追加している。
      そのため、今回紹介されたような多くの企業で利用されているソリューションは積極的に導入した方が良いと感じている。
  • 1st Party Dataが今後主流になる可能性からデータエクスチェンジ事業への参画も推奨
    • 自社データで取得できていない情報も各データベンダーの機械学習等を組み合わせてボリュームを追加が可能。
      例えば、あるDSPを用いて広告配信する際にデータエクスチェンジに参画していることで、他メディアデータも含めた類推セグメントが付与され、自社データに付随したImpressionが発生する、といったこともある。

      ※データエクスチェンジ事業に関する資料は以下をご覧ください。
      【ダウンロード資料】外部データ活用サービス「DataCurrent Data Exchange」

トークテーマ2:1st Party Dataを活用した次世代デジタルマーケティング

セッション2では、テーマ1からの流れを汲みつつ、実際にお取り組みしている方々をゲストとしてお呼びして運用型広告におけるウォールドガーデンに依存した広告への危機感と「オープンインターネット」に期待することに関して議論を繰り広げられました。
下記では、セッションで話された内容から得られたエッセンスを箇条書き形式にてご紹介いたします。

#01_デジタルマーケティングで重要なポイント

  • ウォールドガーデンとオープンインターネットの広告の中でのそれぞれの役割としては現状下記である。
    • ウォールドガーデン※:第一接触のユーザーに対してまたは、 理解促進のため
    • オープンインターネット※:よりリーチの保管をしていく、サブ的な役割

      ※ウォールドガーデン:※
      デジタルマーケティングの文脈で、特定のプラットフォームやエコシステム内で閉じられた環境のこと
      ※オープンインターネット:※
      すべての消費者がアクセスできるウェブサイト、プラットフォーム、アプリなどのオンライン環境のこと
  • 現状2つの役割は分かれているものの、この役割の壁は壊していくべきだと考えている。
    閲覧されているコンテンツ等でこの2つの出すタイミングを変えることで役割を変えて新しい力を作っていくべき。
    現在はウォールドガーデンに予算が寄っているが、生活者のコミュニケーションフローを考えるとウォールドガーデンで閉じたコミュニケーションをするのは良くないと考えている。

#02_ウォールド・ガーデンの課題感

  • ウォールド・ガーデンの課題感
    • GoogleやAmazonのような規模の大きいプラットフォームによるデータの取り扱いが独占的である。
    • 広告主はGoogle等のプラットフォームだけに完結したコミュニケーションをとるのではなく、メディアのデータを有効活用しウォールド・ガーデンの課題を改善してくべきだと考える。
  • オープンインターネットとウォールドガーデンの消費者の利用時間と実際の広告費の違い
広告費の違い

オープンインターネットの未来 | The Trade Deskから引用

  • オープンインターネットも用いて、これからファンになってくれそうな人、より一層ブランドを好きになってもらえる人に対し、適切なタイミングで、より気持ちのいい広告接触回路でコミュニケーションを提供したいと考える。
  • オープンインターネットが配信されている目的はブランディングが多く、コンテキチュアルにフィットしたコミュニケーションやリッチなクリエイティブが必要である。
    また、広告貢献度の可視化する手法を今後推進することで、ウォールドガーデンとオープンインターネットの広告のシェアは逆転できるのではないかと考える。

まとめ

今回のイベントでは、広告業界がCookieの廃止やプライバシー保護の進展に伴って直面している課題と、それに対する各社の取り組みについて、具体的な施策や展望が議論されました。

現在、1st Party Dataの活用や共通IDの導入、ウォールドガーデンからオープンインターネットへのシフトなど、新しいデジタルマーケティングのあり方が日々模索されており、
Cookieに依存しないデータ活用の可能性が徐々に明確になり、今後の広告配信におけるパートナー間の連携がより重要になることが見えてきました。

広告主にとっては、複数のプラットフォームを横断した効果的なデータ活用の重要性が増していると同時に、ターゲット層との関係性を深める機会にもつながるでしょう。
また、メディア側に求められるのは、独自データの収集と活用を強化すること、そして広告主やプラットフォームと積極的に連携していく姿勢です。

オープンインターネットや共通IDの導入により、ウォールドガーデンに頼らずとも、ユーザーのプライバシーを保護しながらも効果的なターゲティングが可能になる未来が見えつつあります。変化する環境の中で、メディアはその独自性を発揮し、より豊かなユーザー体験を提供するためのデータ活用を進めていくことが期待されています。

弊社では、メディア様のデータをお預かりし、広告配信だけでなく、クライアント様へのデータ分析にも活用することで、メディア様とクライアント様双方のビジネス効果を最大化する支援を行っております。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ下記のサービス資料もご確認いただければ幸いです。

外部データ活用サービス「DataCurrent Data Exchange」のご紹介

【ダウンロード資料】外部データ活用サービス「DataCurrent Data Exchange」

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最新ITP対応Cookieのご紹介

【ダウンロード資料】最新ITP対応Cookie

【ダウンロード資料】最新ITP対応Cookie

本件に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
info@datacurrent.co.jp

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