2026.06.25 コラム
【テックコラム】Gemini API と Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)の違い
はじめに
こんにちは!DataCurrent の奥村です。 Gemini モデルを使って開発を始めようとすると、「Gemini API」と「Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)」という 2 つの選択肢が出てきて、どちらを使えばよいのか迷うことがあるかと思います。本記事では、この 2 つの違いと使い分けのポイントをご紹介します。(詳細な比較は公式ドキュメントもご参考ください) なお、本記事の内容は 2026 年 6 月執筆時点の情報です。料金や仕様は変更される可能性があるため、最新の情報は公式ドキュメントをご確認ください。
背景
Google が提供する Gemini モデルで構築する方法は大きく 2 つあります。1 つは Google AI Studio で使用できる「Gemini API」、もう 1 つは Google Cloud の「Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)」です。どちらも同じ Gemini モデルを呼び出せるうえ、サービス名の変更もあり、違いが分かりにくく、混同してしまっている人もいるかと思います。今回は細かい違いには立ち入らず、選択の際に重要なポイントに絞って解説します。
Gemini API(Google AI Studio)
Gemini API は、Google AI Studio で使用できる、Gemini モデルを利用するための API です。無料枠が用意されており、Google アカウントがあれば無料ですぐに始められるため、テストやプロトタイピングなど、開発者・学生・研究者が手軽に Gemini を試すのに向いています。
使い方はシンプルで、SDK をインストールして API キーを設定するだけです。API キーは Google AI Studio の「API キーを取得」から作成できます。
SDK のインストール:
pip install -q -U google-genai
API キーの設定:
export GEMINI_API_KEY=<YOUR_API_KEY_HERE>
サンプルコード:
from google import genai
client = genai.Client()
response = client.models.generate_content(
model="gemini-3.1-flash-lite",
contents="こんにちは",
)
print(response.text)
1 点注意したいのが、データの取り扱いです。無料枠ではプロンプトと回答が Google サービスの改善に使用されることがあります。有料プランであればプロンプト、回答、データが Google サービスの改善に使用されることはありません。
Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)
Gemini Enterprise Agent Platform は、Google Cloud が提供するエンタープライズ向けの統合開発プラットフォームです。Gemini モデルやサードパーティのモデルを大規模に使用でき、AI エージェントの構築や生成 AI のアプリケーションへの統合を想定したフルマネージドのサービスとなっています。利用には Google Cloud アカウント(利用規約の同意と課金設定)が必要です。
SDK は Gemini API と同じ google-genai を使用するため、インストールは先ほどと同様です。認証には Google Cloud の API キー、またはアプリケーションのデフォルト認証情報(ADC)を使用します。テストには API キー、本番環境には ADC の使用が推奨されています。ここでは ADC を使う例として、Google Cloud コンソールでサービスアカウントを作成し、ダウンロードしたキー(JSON ファイル)を使用します。また、接続先のプロジェクト ID とロケーションの指定も必要です。
認証情報と環境変数の設定:
export GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS=<YOUR_CREDENTIALS_FILE_PATH> export GOOGLE_CLOUD_PROJECT=<YOUR_PROJECT_ID> export GOOGLE_CLOUD_LOCATION=global
サンプルコード:
from google import genai
# vertexai=True を指定すると Agent Platform 経由になります
client = genai.Client(vertexai=True)
response = client.models.generate_content(
model="gemini-3.1-flash-lite",
contents="こんにちは",
)
print(response.text)
注目したいのは、SDK は Gemini API と同じ google-genai を使用し、コード上は genai.Client(vertexai=True) と指定するだけで切り替えられる点です(接続先のプロジェクトなどは環境変数で指定します)。コードはほぼ共通のため、プロトタイピングは Gemini API で行い、本番は Agent Platform に移行するといった使い方も簡単にできます。
主な違い
公式ドキュメントでは多くの項目が比較されていますが、選択の際に特に重要なポイントは以下です。
| 項目 | Gemini API | Gemini Enterprise Agent Platform |
|---|---|---|
| 登録 | Google アカウント | Google Cloud アカウント(利用規約の同意と課金) |
| 認証 | API キー | Google Cloud API キーまたはアプリケーションのデフォルト認証情報(サービスアカウント) |
| 無料使用 | 無料枠あり | 新規ユーザー向けの Google Cloud クレジット($300) |
| データの取り扱い | 無料枠ではプロンプトと回答が Google サービスの改善に使用されることがある(有料プランは使用されない) | プロンプト、回答、データが Google サービスの改善に使用されることはない |
| サポートと SLA | エンタープライズレベルのサポート・SLA なし | 24 時間 365 日のエンタープライズレベルのサポートと SLA |
まとめると、以下のような使い分けになるかと思います。
- Gemini API:個人開発やテスト・プロトタイピングなど、手軽に Gemini を試したい場合
- Gemini Enterprise Agent Platform:本番運用や、セキュリティ・コンプライアンス・SLA が求められるエンタープライズ用途
まとめ
分かりにくい Gemini API と Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)の違いについて、重要なポイントに絞って解説しました。どちらも同じ SDK で簡単に切り替えられるので、まずは Gemini API で試して、本番では Agent Platform を使うのがおすすめです。ぜひ試してみてください!
最後に
自社に専門人材がいない、リソースが足りない等の課題をお持ちの方に、エンジニア領域の支援サービス(Data Engineer Hub)をご提供しています。 お困りごとございましたら是非お気軽にご相談ください。
本件に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
info@datacurrent.co.jp