2021.12.21 コラム
CDP担当者に聞いてみた! 第3回 CDP構築・運用に必要になる技術スキルは?
● はじめに
今やデータ統合やID統合の取り組みでは必須ともいえるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)。本シリーズでは「CDP担当者に聞いてみた!」と題して、DataCurrent社CDP担当者に聞いた構築や運用にまつわるコツ・ノウハウをまとめていこうと思います。
これからCDPを使ってみたい、と考えている人や、すでにCDPを導入しているけどうまく使いこなせていない、と悩んでいる人にとって有益な内容にできればと思います。
そもそもCDPとは何か、について知りたい方は過去記事「【いまさら聞けないデータ活用】CDPって?何ができるの?」も参考にしていただければ。
● 本シリーズの担当(プロフィール)
田中 芳樹
2008年4月に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)入社。Google Analyticsを始めとしたアクセス解析ツールやKrux、BlueKaiなどのDMPの実装・運用領域を担務。2021年2月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に出向し、事業会社の基盤構築・運用やオーディエンスデータの連携を担当。
● 第3回 CDP構築・運用に必要になる技術スキルは?
1:必要になる技術スキルは?
このシリーズではこれまで、CDP構築にどのくらい期間が必要なのか、や、CDPでどのような課題を解決できるのか、について整理してきました。おかげで私もCDPの導入計画を練る、みたいなことが何とかできるようになったかもしれません。
が、それでもまだCDPを使いこなすには問題が残っています。計画を作ったとしても、計画を実行できるかどうかは別、という大きな問題が。
実際、CDPを活用しようとするとき、多少の技術的なスキルやノウハウが要求されそうなイメージがあります。どのようなスキル、ノウハウが必要になるのでしょうか。
ということを聞くために、今回はCDPの導入・運用支援で技術面を主に担当している同僚のTさん(仮名)に話を聞いてきました。
というわけで、Tさん、Tさんは私から見てかなり技術面に通じている印象が強いのですね。CDPに関わるときも、APIを駆使したり、定期的なデータ処理プログラムを組み上げたり。やはりそのあたりは長年に渡って培われた技術のバックグラウンドがあるからこそなのでしょうか。
いや、そんな大げさな話ではないですよ。そもそも私がCDPに関わったのはここ数年からで、言ってしまえばそれまではWEBマーケティングとは全然別の仕事をしていたくらいです。
なんと、そうなのですね。CDPにいきなり仕事内容が替わるのは大変ではなかったですか?
もちろん苦労することもありました。例えば扱うプログラム言語が変わったり。
けれど、データを取得するやり方などは代表的なパターンみたいなものが幾つかあって、一度しっかりと実施した経験を積めば、後はその応用になることも多いです。それを何度か繰り返していくことで、対応できる幅がどんどん広がっていくのかなと思います。
他にも過去の経験が活きているかなと思ったのは、前は監視システムのログを集計するなどして可視化する仕事をしていて、データを取得する、移動させる、加工する、というところは今のCDPでも似たようなことをしているな、と思いましたね。
2.必要になるスキルの例
CDPは大雑把には、
複数のシステムからデータを持ってきて統合する
ということを目的にしていると言えると思います。なので、それにまつわる技術知見は求められることが多いかなと思います。
確かに、前のインタビューでもCDPの一番のメリットは複数のシステムとデータを連携することにある、という話がでていましたね。
はい、例えばそんな風に複数のデータソースから顧客データをCDPへ持ってきてダッシュボードで可視化するケースを見るだけでも、以下のように複数のプロセスに分解できて、そのプロセスごとに必要となるスキルや知識は変わってくると思います。
<プロセス> <必要になるスキルやノウハウの例>
・データを取得する APIの扱い、取得先のシステムの仕様
※Webページの計測なら javascript、HTML
・データを加工する SQL
・データを移送する Python、ETLツール、Workflow
・データを集計、可視化 ダッシュボードツールの仕様
連携先のシステムの仕様、データの持ち方は、他に詳しい人がいるものなので、その人に尋ねればいいというところはあります。
ただその分、型も形もバラバラなデータを繋ぎ合わせることが多いので、データを加工する部分のスキルは持ち合わせておく必要があるかなと思います。
あとは技術的な範囲からは外れますが、もしデータを分析して可視化したいという目的のプロジェクトであるなら、集計可視化のところで分析や統計の知見が必要になりますし、そもそものところではCDP活用戦略を考えたり、その計画を設計に落とし込んだりするところもスキルとみなすこともできるかもしれません。
確かに、ううむ、聞けば聞くほどCDPの運用には様々なスキルや知識が必要なように思えてきました。これは初めてCDPを使おうとするのにはなかなかハードルの高い話のようにも思えてきますが――
3.ノーコード系CDPという選択とそのメリット・デメリット
いえいえ、確かに上では幾つか要素を挙げましたけれど、やりようによってはそういった技術的な要求を一部回避することもできますよ。
え、そんな裏技みたいな話があるんですか?
裏技なんていうほどの話ではないですよ。単純にCDPのサービスによっては、そういった技術スキルを要求する部分を機能でカバーしてくれるサービスもあるからです。いわゆるノーコードのCDPなどと呼ばれるものですね。
Treasure Dataでも、かつてはターゲットユーザーデータを抽出する際はSQLをガリガリ書かなくてはいけなかったのが、今ではAND、OR、NOTなどでUI上で条件を組み合わせるだけでSQLを全く書かなくても対象を指定できる機能が追加されています。
世の中にCDPサービスは色々存在していて、技術的なスキルが必要にならないよう機能を備えているものもあるので、不安な部分があれば情報を集めてみるのも良いかもしれません。
なるほど、言われてみればTreasure Dataから外部システムにデータをプッシュする部分の繋ぎこみも、1から作りこむには大変なところをある程度Treasure Data側で機能を用意していて楽にしてくれている、とも言えそうですね。
ただ、そうなるとCDPもそういうノーコードの方が使いやすいのかなって思ってしまいますが――
そこは一概には言えない部分ですね。ノーコードにはノーコードの利点があって、一方ではそれこそスクラッチでガリガリと作りこむようなやり方にも利点はあります。
個人的には機能による利便性は一種のトレードオフになるのかなと考えています。
ノーコード系のCDPの代表的なメリットは、
・構築のフェーズを一部端折って導入、活用までの速度がでる
・活用できる人員が多くなる
一方でトレードオフになる部分は、
・機能化されていないところは諦めることになりがち
・定型化されたサービスを使うので他社との差別化になりづらい
というところでしょうか。
なるほど、最後の他社との差別化はあまり考えたことがありませんでした。
機能化されるのはどうしてもその市場でニーズが高いところから、になってくるので、それを使うというのは「市場の先を行く」ではなく「追いつく」という感覚に近いです。
スピード感はあるので、今できていないところを及第点でいいから手っ取り早く備えてしまう、という考え方にはすごくマッチしてくると思います。
けれど、どうしてもその先のカスタマイズ、やりたいことを突き詰める、という段階になると噛み合わないところが出てきやすいので、
データ周りの取り組みに対して長期で腰を据えて取り組みたい
という場合は別の選択肢を選ぶケースがでてくるのかなと思います。極端な話、全てスクラッチで作ってしまえば自社のやりたいことを突き詰めるようなコントロールが効きやすいですし、長期で見た場合はコストを抑えられるような場合もあると思います。
もちろん後者の場合は求められる技術要求度も高くなってしまいますし、設計構築の段階で時間を要することにはなってきますので、これもまたトレードオフですね。
なので、技術的なスキルを備えること、も大事ではあるのですけど、
・今自分達が備えている技術対応力がどのくらいかをまずは整理して
・かつCDPをどの程度の期間を見据えてどのように使っていくかの戦略を決めていく
ことが重要になる、と。そのうえで必要な技術力を補充するのか、それともツールの機能でカバーしていくのかを考える、という判断になっていくのがよさそうですね。
はい、もしその整理の段階で悩むことがある場合も、DataCurrentでサポートできると思いますので気軽に相談をいただければなと思います。
いやー、冒頭の頃では自分でもCDPの導入計画を練ることができるかなーなんて言っていましたが、まだまだ重要なポイントが残っていましたね。
Tさん、色々と教えてくれてありがとうございました!
● まとめ
- CDPでは、複数のシステムからデータを持ってきて統合する、に関するスキルが求められやすい
- データ取得、加工、移送、集計、それぞれのプロセスで要求されるスキルは異なる
- ノーコード系のサービスを使うことでその技術要求を一部回避できる
- 自分達が備える技術力と長期目標に照らし合わせて使うサービスを決めることが大切
弊社では、新規データソースの連携方法の整理や実際の連携作業、開発といったことから、既に連携しているデータのトラブル、ご相談まで幅広くサポートしています。
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