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ソニーミュージックグループのDX推進に学ぶ顧客データ活用の課題とその解決策 ~経営課題解決シンポジウムPREMIUM DX Insight 2022 「2025年の崖」の克服とDX加速 Review ~

近年のIT技術の発展に伴いエンターテイメント業界では消費者との直接のコンタクトポイントが拡大・多様化しており、そこには膨大な種類・量のデータが存在している。ところがその活用は思ったように進んでいない。各事業に紐づくデータはそれぞれの部門ごとに管理されており、サイロ化しているのが原因だ。DataCurrentの講演では、ソニーミュージックグループのDX事例を通じて、この課題解決のヒントが提示された。

データ利活用の全体戦略を描けない原因はデータのサイロ化にある

古田 誠氏

 顧客体験価値を高めるためには何が必要なのか。その第一歩となるのは、あらゆる顧客接点のデータを一元的に把握する仕組みづくりである。一元化された顧客データを基に顧客属性やLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を分析すれば、チャネルを横断した顧客中心のマーケティングを行うことが可能となる。それが、顧客中心のバリューチェーンを構築し、最終的に顧客体験価値を高めるためのビジネス設計の創造へとつながっていく。

 とはいえ、この実現はそれほど容易なことではない。その理由についてDataCurrentの古田 誠氏は次のように指摘する。

 「顧客接点そのものは複数保有しているものの、それぞれの事業に紐づくデータが事業部ごとに管理されており、データ利活用の全体像が描けてないのが大きな要因です。この課題を私たちは『データのサイロ化』と呼んでいます」

 それではデータのサイロ化をどうやって解消し、一元的な分析を実現することができるのか。その好例といえるのが、DataCurrentがパートナーとなって支援しているソニーミュージックグループにおけるDX推進の取り組みである。

 近年、音楽業界で扱われるデータは急速な勢いで増えている。「ファンクラブの会員データ」からストリーミングによる「楽曲の再生データ」、「物販/ライブに関するデータ」、さらには「SNS/YouTubeデータ」「メディア露出のデータ」、「提携先の企業が保有するデータ」などだ。

 「これらのデータを一元的に集約し、活用可能な形へと加工します。さらにそこに含まれているファンデータを抽出して一気通貫で可視化・分析するためのCDP(顧客データプラットフォーム)の構築から実際のアナリティクスの支援まで、ソニーミュージックグループ様と渾然一体となって取り組んでいます」と古田氏は語る(図1)。

ソニーミュージックグループ× DataCurrentで推進するデータ利活用の全体像

音楽原盤マーケットの動向とソニーミュージックグループのビジネス戦略

北山 智之氏

 現在、日本の音楽原盤ビジネスは、大きく変質しつつある。CDなどフィジカル(物理メディア)のビジネスは年々縮小する一方、ストリーミングのビジネスは毎年20~30%以上の伸長を見せている。現在、音楽原盤ビジネス全体のマーケットに占める割合は約26%(オーディオのみでは34%)に達しているという。

 ソニー・ミュージックエンタテインメントの北山 智之氏は、「このような環境下で私たちが注力すべきは、当然のことながらストリーミングビジネスとなります。そこでの勝敗を分ける中心テーマがデータ活用です」と強調する。

 音楽原盤ビジネスでは「いかにしてユーザーに見つけてもらうか」が普遍的な課題であるが、従来のフィジカルやダウンロードのビジネスではショップの目立つ場所にCDを置いてもらうこと、業界用語でいうところの“面出し”が重要なカギを握っていた。

 これに対してストリーミングビジネスでは、ユーザーに対するダイレクトなアプローチが今まで以上に重要度を増しているという。「ストリーミングサイトのトップ画面はユーザーごとにパーソナライズされており、一人ひとり違ったアーティストの楽曲が並んでいます。それだけに、データ分析に基づいたプロモーションが不可欠なのです」と北山氏は語る。特に重要なのが「スキップレート(いかに楽曲が飛ばされないか)」で、そのアーティストに対するエンゲージメントの度合いとほぼ一致する指標となるという。

 また、ストリーミングサービスごとの特徴を捉えたアプローチを展開することも非常に重要なポイントとなる。「各サービスで採用されているレコメンドエンジンのアルゴリズムに適合した『メタデータ』を整備する必要があります。メタデータとは個々の楽曲に紐づけられた多様な属性データで、作曲者や編曲者、各パートの演奏者などの情報がこれに該当します。こうしたメタデータを分析した上で、一人ひとりの嗜好にあった楽曲を届けることが、『ユーザーに発見してもらうこと』につながります」と北山氏は強調する。

アーティストのファン層を把握し効果的にアプローチする

 上記のようなビジネス戦略のもと、ソニーミュージックグループは様々パートナーと共創しながら、「GROOVEFORCE」というデータ分析プラットフォームの整備を続けてきた。ここで目指したのは「勘と経験に依存したビジネスからの脱却」である。

 「エンターテインメント業界における、マーケティングに関する知見は部門によるサイロ化どころか個人にしか蓄積されていないケースが少なくありません。それを変革し、獲得した知見を必要な関係者に共有化することが私たちの目指す姿。その裏付けとなるデータ分析の結果をダッシュボード上に誰でも分かる形で見せていくことが、『GROOVEFORCE』の主な役割です」と北山氏は語る。

 その一環としてDataCurrentと共に開発してきたのが、ファン層の可視化を実現する「GROOVEFORCE ENGAGEMENT」というアプリケーションだ(図2)。既存顧客および潜在顧客の趣味趣向や属性を把握し、ターゲットとなるファンに対して効率よくアプローチすることで、ファンの最大化を図り、既存ファンのLTVを高めることが可能となる。

GROOVEFORCE ENGAGEMENT

 「ソニーミュージックグループ自身が持つデータと、サードパーティーから入手したメディア接触データやデモグラデータ、購買行動データ、位置情報データ、興味関心データ、ライブイベント購買データなどを組み合わせて可視化・分析することで、アーティストのファン層を把握する取り組みを進めています」と北山氏は説明する。

 ソニーミュージックグループのチャレンジはこれにとどまらない。「あるアーティストについて狙うべきターゲット層を明確化できたならば、その層に対してより効果的なアプローチを行うため、データ分析の解像度をどんどん高めていき、新たなインサイトを得るべくファン層の深掘を進めています」と北山氏は語る。

 例えば「ターゲットとして想定するペルソナを持つユーザーは普段どんな楽曲を聴いているのか」、「どういったアーティストを好んで選択しているのか」、あるいは「音楽に限らずどんなコンテンツを支持しているのか」といった傾向まで可視化し、浮かび上がってきたターゲット層に直接アプローチするところまで踏み込んでいこうとしているわけだ。

 「GROOVEFORCE ENGAGEMENTの開発だけに限らず、こうした深いレベルのデータ分析についてもDataCurrentと一体となって取り組んでいます」と北山氏。DataCurrentと共に今後も共創していく考えだ。

※日経BPの許可により、2022年7月15日〜2022年8月11日掲載の日経ビジネス電子版Specialを抜粋したものです。禁無断転載@日経BP

本記事に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
info@datacurrent.co.jp

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