コラム

2021.06.24

【データ連携担当のトラブルメモ】#4. 契約周りの注意点

● はじめに

 本シリーズでは「データ連携担当のトラブルメモ」と題して、DataCurrent社データ連携担当として携わってきた、データ連携にまつわる様々なトラブルやヒヤリ・ハットを振り返り、その原因究明のポイントや対策などを備忘録的に整理してまいります。

 非常に基礎的な内容も含まれると思いますが、それゆえにこれからデータ連携領域を担当されるという方々の一助になるようなものにできればと思います。

● 今回のデータ連携担当(プロフィール)

田中 芳樹
2008年4月に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)入社。Google Analyticsを始めとしたアクセス解析ツールやKrux、BlueKaiなどのDMPの実装・運用領域を担務。2021年2月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に出向し、事業会社の基盤構築・運用やオーディエンスデータの連携を担当。

● 第4回 契約周りの注意点

契約締結もデータ連携担当の仕事

 契約、もデータ連携とは切っても切り離せない要素のひとつです。連携というからには会社など組織をまたいでデータが移動することもあるわけで、そういう場合はもちろん契約の締結が必要になります。渡すデータの取り扱い範囲や保持期限、費用が絡む場合にはその諸条件を規定しておかないといけませんね。

 え、それもデータ連携担当がやるの?

 という話もあるかもしれません。けれど、データ連携担当として連携の運用だけをやっていればいい、というわけにもいかないのが昨今です。

 というのも、渡すデータ、受け取るデータはどのような情報をどのような形式で保持していて、受け渡しの方法にはどのようなリスクがあって、渡すデータはその先でどのような使われ方が可能なのか。受け取るデータにはどのような取り扱いが必要で、定期的に削除しなければいけないとしたらそれはどのサイクルで、運用的にそれは可能なのか。契約で定めるあれやこれやが的を得ているのか、運用として現実的な内容なのか、は実際にデータを触る担当でないと判断がつかないことが多いです。契約は誰かがよろしくやっておいて、とはいかないということですね。

契約締結でよくある争点

・データの利用範囲
 もっとも重要なのはこの点と言っていいでしょう。そのデータはどの範囲で使っていいのか。広告配信なのか、統計的な分析なのか、あるいはCRMと連携してもよいのか。

 もちろんこれはやりたいことに応じて決めるわけですが、それ以外でもデータを渡す側、使う側それぞれのプライバシーポリシーでどこまで説明しているか、ユーザーに適切な許諾をとっているかで利用できる範囲が決まってきます。「こういう使い方をするときは利用社で適切なユーザー許諾をとること」と条件付きで認める例も目にしたことがありますね。契約形態が業務委託なのか、データ提供契約になるのか、も影響するところです。

 また、分析などでデータの扱いを外部の協力会社に委託する場合はそれについても契約で明記しておくことが多く、会社名まで具体的に契約で明記して範囲を制限するケースも多い印象です。

<契約記載例>
・提供者は、利用者に対して、提供データを用いた広告商品の開発、販売、広告キャンペーンにおけるターゲティング及びデータ分析の目的で提供データを使用するための限定的、非独占的、譲渡不能、取り消し可能なライセンスを利用者に付与する。
・利用者は、以下の事項を直接的又は間接的に行わないことに同意するものとする。
 -提供データを貸与、販売、再許諾、リース又は第三者に提供データへのアクセスを許諾すること。
 -提供データを他の第三者の製品の機能強化、最適化、又は開発のいずれかにおいて、使用し、包含し、組み込み又は統合すること。
 -本人の同意なく、提供データを利用して特定の個人を識別すること。
・利用者は【別紙】に記載の委託先に提供データを開示することができるものとする。ただし、利用者は自己が本契約おいて負う義務と同等の義務を本委託先に負わせるものとする。

・データの管理方法
 渡されたデータは外部に漏れないように厳重に取り扱うべし、というのはもちろんですが、データ管理の運用に関しても具体的に契約で定めることがあります。

 例えばハッシュ化するなど、指定のデータに加工を加えることを定めていたり、渡したデータをどのくらいの期間保持していいのか、削除にあたってはその報告書の提出を義務付けていたり。データ保持期間もプライバシーポリシーでうたっていることがあるので、それに合わせる形で契約内容の調整が走ることがあります。

<契約記載例>
・利用社は、提供データの検査合格後、速やかに破棄するものとする。なお、本項による破棄は、提供者から利用者に対する提供日から●週間を超えてはならない。

お金の話(銀行手数料についての取り決め特に海外とのやり取りに注意!)
 はい、これも言うまでもないことかもしれませんね。データの利用に対して、あるいは連携にかかる工数に対して、どのような対価が発生するのか。これも契約に関する重要なファクターです。データ連携の契約だけの話ではありませんが、ここを具体的に整理しきれていないとトラブルになりやすいです。

 以前、思わぬところで躓いたのが銀行手数料についての取り決めでした。このあたりは支払う側の負担、というのが通例になっているようですが、データ連携となると海外のプラットフォームとの契約を行うことも珍しくなく、海外送金の場合だと海外側、日本側の複数銀行が絡んでそれぞれ手数料が発生するケースもあるようです。で、契約には厳密にそこが書かれていなくてどちらの負担?と泥沼の調整に陥ったことがあります。少額の話で相当調整に手こずりました。もうあれは繰り返さないと今は心に誓っています。

今後の変化を見据えて

 また、気を付けなくてはいけないのは、私たちが扱うデータの領域は法律の面でも徐々に状況が変わってきていますし、Cookieに対する制限など、技術環境の面でも日々変化が進んでいます。

 扱うデータの特徴が変わったり、ボリュームが変わった時にどのような対処になるのか。それもこれからの契約はある程度織り込んでおく方が良いでしょう。並行してそうなった時の想定などは担当者間でしっかりとすり合わせておくことが重要、とも言えそうです。

まとめ

 データ連携には契約が付き物であり、

  1. 実際にデータを触る担当もしっかりと契約内容の調整に関わることが望ましい
     
  2. 利用範囲、管理方法、料金関連が特にトラブルの元になる
     
  3. 可能であれば今後の環境変化も見据えた契約内容にする

 などを意識しておきたいです。

 弊社では、新規データソースの連携方法の整理や実際の連携作業、開発といったことから、既に連携しているデータのトラブル、ご相談まで幅広くサポートしています。お困りごとございましたらお気軽にご相談ください。

本件に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
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