2021.06.29 コラム
【データプライバシーコラム】CMP導入時のトラブル事例:その2
●はじめに
「CMP導入時のトラブル事例:その1」では、CMP導入を進めるにあたって検討すべき体制面や事前の情報収集や情報の整理に関してご紹介しました。
その2では、CMPツールの実装と検証作業についてのトラブル事例についてご説明をします。
●CMPツールの導入手順とトラブル事例
本パートでは、下記の図のトラブル2とトラブル3についてご紹介します。
●サイト実装に技術的な知識が必要
【テックコラム】CMPはどのようにタグを制御するのか?で、CMPツールの制御についての説明をしていますが、CMPツールはツールにより制御の方法が異なります。
「コンテンツセキュリティポリシー(CSP)による制御」ができるCMPツールの場合、タグマネージャーの設定変更やサイトに直貼りされたタグの変更を行う必要はありませんが、CMPツールとタグマネージャーを連携させて制御を行う方式をとっているツールの場合は、既存のタグマネージャータグの変更や、変数やトリガーの作成などが必要な場合があります。
既存のタグマネージャーの記述を変更しなくてはならないということで、トラブル事例としては、
- 社内にタグマネージャーの記述をどのように変更したらよいか判断できる技術的な知識を保有する担当者がおらず、ツールの選定はしたものの、サイトへの導入を進められなかった
- 記述変更をされていることを認識していなかった担当者が設定をもとに戻してしまい、CMPツールが機能しなくなった
- 誤った設定をしたことによって、現状利用しているほかのサービスが機能しなくなってしまった
などが挙げられます。
多くの会社では外部の制作会社にサイトの運用を委託されているかと思いますが、ツール導入時には、外部パートナー企業に対してこういった技術面も含めて的確な指示をしていくことが必要になります。
●実装後、思い通りに動かないケースも
最後に紹介するのは検証作業時に発生するトラブルケースです。
対象サイトにCMPツールを導入した後は、実際に意図通りにタグが制御されているかどうかの検証を行う必要があります。
その際、よくあるトラブル事例としては、「意図したとおりに通信が遮断されていない」というケースです。
上記の図を例に説明します。
本来広告配信の「タグA」は、ユーザー側で通信の制御を行えるようにしていたものの、実際にユーザーがWebブラウザに表示されたCMPツールの選択画面で「通信しない(拒否)」を選択しても通信が遮断されておらず、該当のタグの通信が行われてしまっていたというものです。
なお、通信が遮断されないというケースの要因はひとつではありません。
一例ですが、当社で対応した際に以下のような原因で遮断がされないケースがありました。
- 本番環境とテスト環境で埋まっているタグが異なる
まず、テスト環境でCMPツールの挙動確認後、本番環境に適応させる流れで進行していましたが、本番環境にて実装した後、制御できないタグがありました。
調査してみると、テスト環境と本番環境で設置されているタグが異なっていることがわかりました。(それぞれのタグが同期されていない状況でした)
改めて本番環境に設置されているタグの精査を行ってからの公開となったため、当初の想定よりも時間を要してしまいました。 - CMPツールの発火よりも先に発火してしまうタグがあった
サイト管理の観点から、全てのタグをGoogleタグマネージャーで管理しているサイトにおいて起きた事象です。
CMPツールもGoogleタグマネージャーで設置をしたところ、一部のタグがCMPツールのタグより先に発火してしまい、制御できない状況が発生しました。
当社では、CMPツールを導入・公開後はブラウザの「開発者ツール」を用いながら実際に通信が遮断できているかの検証を行います。
その中で上記のようなケースを発見できましたが、この検証作業にも技術的知見と時間を要しますので、導入時にはそれだけの労力がかかることを認識のうえ、進行すべきであると思います。
●CMP導入の検討をはじめる前に
以上より、CMPツールをもし皆さんの会社で導入したいと考えられた際には、
- ツール導入時の技術的なフォローは誰がどのような形で行えるかを確認しておく
(外部ベンダーへの協力依頼も含む) - 対応するサイトの数に比例して導入時の検証作業の時間を確保しておく必要があることを認識しておく
ということも、検討事項としていただければと思います。
●さいごに
弊社では事業会社様向けにCMPのご提案・導入支援を行っています。
ご興味ございましたら是非お問い合わせください。
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