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CDP担当者に聞いてみた! 第5回 機械学習との付き合い方

● はじめに

 今やデータ統合やID統合の取り組みでは必須ともいえるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)。本シリーズでは「CDP担当者に聞いてみた!」と題して、DataCurrent社CDP担当者に聞いた構築や運用にまつわるコツ・ノウハウをまとめていこうと思います。

 これからCDPを使ってみたい、と考えている人や、すでにCDPを導入しているけどうまく使いこなせていない、と悩んでいる人にとって有益な内容にできればと思います。

 そもそもCDPとは何か、について知りたい方は過去記事「【いまさら聞けないデータ活用】CDPって?何ができるの?」も参考にしていただければ。

● 本シリーズの担当(プロフィール)

田中 芳樹
2008年4月に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)入社。Google Analyticsを始めとしたアクセス解析ツールやKrux、BlueKaiなどのDMPの実装・運用領域を担務。2021年2月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に出向し、事業会社の基盤構築・運用やオーディエンスデータの連携を担当。

● 第5回 機械学習との付き合い方

1:CDPの新たな潮流・機械学習の活用

 機械学習。というと数年前までは研究領域という印象が強いものでした。

 しかし近年、数年レベルの変化が一気に訪れた、というような言葉を聞くこともありますが、機械学習は様々な領域で実戦投入され、活用事例に触れる機会も圧倒的に増えています。

 マーケティング領域もそれは例外ではないでしょう。数年前、DMPが一種のブームであった時期、機械学習を組み込んだ機能(例えば拡張機能など)を目にすることもありましたが、まだそれは物珍しさもありました。

 しかし現在CDPがマーケティングの主流に躍り出て、機械学習を組み込んだ機能はかなり身近になった感があります。私たちDataCurrentのメンバーがよく活用するTreasure Dataにも、Predictive ScoringHivemallといった機械学習を活用する機能が存在します。 

 今後、CDPの活用には機械学習を避けて通れない、と言えるかもしれません。

 とはいえ機械学習というと、なんか難しそう、というイメージはやはり付いて回ります。いくらマーケターとはいえ、中には計算式に苦手意識を持つ人もいるでしょう。よくわからない数式、定義、専門用語のなんやかんや。この先CDPを活用するにあたって、どのように機械学習と付き合っていけばいいのか。悩みどころです。

 今回はそのあたりのアドバイスをもらうべく、弊社のCDP領域で機械学習にまつわるノウハウ普及を推し進めている同僚の I さん(仮名)に話を聞いてきました。

2.機械学習のインプット

 というわけで、I さん、日進月歩で絶えず新しいことが生まれるこの機械学習の領域で、最新情報についていくのはなかなかに大変だと思うのですが、実際どうなのでしょう?

 はい、多少身近になったとはいえ、まだまだ機械学習は沢山の新しい発見、試行錯誤が続いていく領域です。情報収集は欠かせないですね。

 I さんは例えばどういうところから機械学習の最新情報を得ているのでしょうか。

 そうですね。主にはオンラインで開催される勉強会、分析コンペティションが挙げられますが、関連する本を読んだり、twitterに流れてくる情報も重要な情報源ですね。

 一方で、ニーズを抱えている企業の担当者様やその人と接する営業担当との接点を増やして、需要の情報も集めておくのも重要だなと感じています。

 集める情報も専門性の高いものばかりになりそうで、情報収集だけをとってもかなり大変なのでは、と思ってしまいますが。

 正直に言えば大変ですね。でも全てをしっかり理解する事は難しいので、多くの場合は特徴だけを押さえておくイメージです。
 ただ、サービスに機械学習を組み込む場合は、何か問題が発生した時などにしっかりトラブルシュートしなければならないので、アルゴリズムに組み込まれた数式の内容を理解する必要も出てきます。
 数式の知識も必要になりますし、慣れも大事だと思っています。

 なるほど、やはり、ある程度の知識や訓練は求められそうですね。

 そうだと言えるかもしれません。ただ、すでに大学ではこういった領域を専門とする学部が誕生しています。今後そこで鍛えられた若手が力を発揮することで、機械学習の活用は一気に進んでいく未来もありそうだなと思っています。

 得られた最新の情報のどれを試してみるか、もかなり頭を使うことになりますよね。

 そうですね。そもそも新しい情報は次から次に出てきますので、すべてをカバーすることは到底現実的ではありません。
 ある程度汎用性のあるものや有効度合いが高い情報は話題になりやすいので拾いやすくはなりますが、やはり情報を受け取る側のアンテナ、取捨選択力も鍛えておく必要があると言えます。
 しっかりとニーズや事業の内容を把握していれば、調べているときにピンとくるものがあるものです。

3.CDPに機械学習が組み込まれることのメリット

 実際 I さんから見てCDPへの機械学習の組み合わせはどのように評価していますか?

 間違いなくCDPにとってプラスだと思います。機械学習を組み合わせることで多種多様なデータからマーケティングを自動化または最適化できる可能性が産まれます。

 そうですね。マーケターができることが高度化したような印象があります。

 確かに、高度化しています。が、実際に実行する側面を考えると、機能として組み込まれている分、簡単になっているかもしれません。

 おっと、全く逆の表現になりましたね。

 はい、例えば機械学習をCDPに組み込むことで会員サービスの退会予測ができるようになった、という事例も多く耳にします。
 ただ、機械学習が話題になる以前から、退会予測という分析は行われてきました。退会に結びつきそうなデータ因子は何か、その分析の過程で、ビジネス面とシステム面で専門性の高い知識がハードルになっていたと思います。
 それをCDPでは機械学習機能として提供する事でそのハードルが下がっていると思います。

 なるほど、確かに私もかなり前に統計分析の人の話を聞く機会があって、n次関数の話がばしばし飛び出して、これはちょっとついていけないかな、と思った記憶があります。そのあたりを機械学習が機能としてサポートしてくれる、だから簡単になる、と。

 はい、機械学習はCDPと一緒に使う事で、手軽に高度なデータ分析ができるという点がメリットなんだと思います。

4.今後、機械学習×CDPはどのように発展していくか

 機械学習とCDPの組み合わせは、まだまだこれから発展していく余地が大きいと思いますが、I さんはどのように見ていますか?

 確かなことは一概には言いづらいですね。ただ、機械学習とCDPの組み合わせの必要性が増加し続ける事は言うまでもないですし、様々な企業が取り組みを続けていくことになると思います。
 その中で、個人的にはですが、CDPには網羅性よりも柔軟性が求められやすくなるかなと思います。

 柔軟性ですか。

 はい、今後企業が抱えるデータの数、種類はますます増えていくことになります。さらに言えば、昨今のステイホームの流れもあって、オンラインのアクティビティが増えることでこの傾向は一気に加速したと言っていい状況です。
 データの数や種類が変化していく中で、その企業にとって最適なツール・サービスも変化していくのではないかと予想しています。

 なるほど、オールインワンは確かに魅力的ではあるけれど、ここの領域しか使わない、というニーズに対して乖離が生まれやすくなる、と。

 はい、なので、今後は様々な機械学習の技法やCDP等のサービスをどう組み合わせていくか。移り変わるニーズやデータに併せてそれをどうデザインできるか、が求められやすくなると思います。
 それに応えるには、自社のおかれた状況や周りの環境の把握する事に加え、どういうサービスが登場してきているのかも把握し、その上で経営上の意思決定していく必要があると思います。
  サービス選定時においても、現在の状況に完全にマッチするサービスをあえて選ばず、数年先を考慮し、今は完全にマッチせずとも小さめの移管しやすいサービスを選ぶといった選択肢もあると思います。

 確かに。そして今後選択肢が多くなってそのデザインがますます難しくなってくると予想されるわけですが――

 はい、そういう場面でパートナー企業が力を発揮し、共に変化に対応していく。Win x Winな関係性を築いていく。これこそが我々パートナー企業が目指すところだと考えています。


 理解できました。機械学習そのものから将来の予想に至るまで、I さん、幅広く貴重な話をありがとうございました!

● まとめ

  • 機械学習のインプットは技術情報だけでなくニーズについても併せて追っていきたい
  • 機械学習+CDPで手軽に高度なデータ分析ができるというメリットが生まれる
  • 今後CDPには網羅性よりも柔軟性が求められやすくなるのでは?
  • 企業の成長戦略においても増えるデータの種類や量を意識すべき

 弊社では、新規データソースの連携方法の整理や実際の連携作業、開発といったことから、今回のような機械学習の活用のご支援まで幅広くサポートしています。
 お困りごとございましたらお気軽にご相談ください。

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本件に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
info@datacurrent.co.jp

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