2022.02.25 コラム
CDP担当者に聞いてみた! 第4回 CDP導入で陥りやすい落とし穴とは?
● はじめに
今やデータ統合やID統合の取り組みでは必須ともいえるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)。本シリーズでは「CDP担当者に聞いてみた!」と題して、DataCurrent社CDP担当者に聞いた構築や運用にまつわるコツ・ノウハウをまとめていこうと思います。
これからCDPを使ってみたい、と考えている人や、すでにCDPを導入しているけどうまく使いこなせていない、と悩んでいる人にとって有益な内容にできればと思います。
そもそもCDPとは何か、について知りたい方は過去記事「【いまさら聞けないデータ活用】CDPって?何ができるの?」も参考にしていただければ。
● 本シリーズの担当(プロフィール)
田中 芳樹
2008年4月に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)入社。Google Analyticsを始めとしたアクセス解析ツールやKrux、BlueKaiなどのDMPの実装・運用領域を担務。2021年2月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に出向し、事業会社の基盤構築・運用やオーディエンスデータの連携を担当。
● 第4回 CDP導入で陥りやすい落とし穴とは?
1:最大にして陥りやすい落とし穴
CDPの導入・構築について、このシリーズではこれまで進め方や考え方について繰り返し整理をしてきました。
しかしどれだけ慎重に準備をし、計画を練り、実行に向けて力を蓄えたとしても、それでも失敗のリスクは付いて回るわけでして。であれば転ばぬ先の杖。何が原因でつまづいてしまうのか、についてもしっかり学んでおくことで同じ失敗を回避できるかもしれません。
そういうわけで今回はCDPの導入・運用支援でいくつもの案件に関わってきた同僚のMさん(仮名)に話を聞いてきました。
Mさん、いきなりネガティブな話題で申し訳ないのですが、「CDPの利用で陥りやすい失敗」というと何か思い浮かぶものはありますでしょうか。失敗してしまう典型的な例みたいなものがあればわかりやすいのですが。
そうですね、1つ1つの導入例を見ていくと、それこそ導入設計はお客さんの数だけあるようなものなので、なかなか共通の要素を見つけるというのは難しいです。ただ、視点を広げていくと、多くのCDP利用社が陥りやすい失敗の形というものはあると思います。失敗の結果、とも言えるでしょうか。
なんと、それは一体どういうものでしょうか。
はい、それは
CDPを導入してみたけれど、結果として使われなくなってしまった
というパターンです。
2.CDPを導入したのに使われなくなってしまった
なるほど、それはすごくもったいない話ですね。
はい、一言で失敗と言っても大小様々あって、例えば「導入設計を固めた後になって追加要件がいくつも出てきて結局ローンチ時期がずれることになった」とか、「連携できるはずのデータが技術仕様の都合やポリシーの都合でCDPに直接取り込めないことが分かった」とか、色々と挙げることができるかと思います。
けれど、その中で最も致命的で避けなくてはいけない失敗は何か、と言われればこの「導入したけれど、結局使われなくなってしまった」だと言えると思います。
この事態に陥るケースはそこまで珍しくはありません。私達までCDP領域のサポートの依頼をいただく際も「CDPを導入したはいいけれど、使える人がいなくなってしまってホコリをかぶってしまっている。再起動させる手助けをしてほしい」というような相談をいただくケースが何件もありました。
これを言われて思い出したのですが、私も過去にアクセス解析ツールに関わっていた時にも、全く同じようなケースに出くわしたことがありました。これはCDPでも同じ話なのですね。
そうですね。最近になってCDPがデジタルマーケティングの領域で普及し始めたのもあって、これはとりわけ顕著になっているのかなと思います。格安で仕入れることができたのだけど、そのまま定着するには至らなかった、というような。
ともかくこういった事態は大きなマイナスです。CDPのコストを無駄に垂れ流してしまっている、というのももちろんですが、CDPは間違いなく自社のマーケティングを大きく改善してくれるものなので、事業のクオリティを維持するという点でも大きなハンディキャップを背負うことになります。
3.使われなくなってしまった、を避けるには
では、その最大の失敗に陥らないようにするために、私達はどのように工夫したらよいのでしょうか。
その事態に陥ってしまうケースにも様々なパターンはありますが、特に注意すべきパターンはこれかもしれません。
・CDPに蓄積したデータを分析するだけで満足してしまった。
おっと、これは私自身も少し耳の痛い話かもしれません。
はい、ともすれば忘れてしまいやすいポイントですが、分析という行為はそれ自体では少しも利益を生むものではありません。分析で見えた結果を元に、施策に活かして初めて利益がもたらされます。
にもかかわらず分析だけでCDPの活用がストップしてしまうと、それ自体が利益を生むものではなくなってしまうので、日々の業務に追われて優先順位が下がり、やがて隅に追いやられてしまいます。
担当が代わった、や、部署間の調整が進まなくて、といった話がきっかけとして語られることも多いですが、元をたどっていくと「分析した結果を元に何をやるか、が決まっていなかった」というケースは非常に多いように思います。
4.CDPで解決したい課題は明確になっているか
となると、分析した結果を踏まえたアクションを明確にしておく、というのが根本的な部分で重要な対策になると言えるのでしょうか。
はい、そう言って良いと思います。
ただしCDPのアクションの部分は先述の話でも少し触れた通り、他部門にまたがることが多いです。マーケティング部門が分析をした結果を元に、アクションをするのはCRMの部門かもしれないですし、広告かもしれず、あるいはソーシャルの担当かもしれません。
その連携がスムーズに進むためには組織のより上位のレベルでCDPの活用目的が明確に定義されているかが重要になってきます。あるいは、その複数の組織を繋ぐ強力な旗振り役がいて、その人に十分な権限が与えられているという状態が望ましいです。
CDPでどのようにデータを見るか、だけで立ち止まらず、データを使った施策まで具体的に落とし込めるか。それが重要です。そこまでできてようやくCDPが日々の業務に落とし込めるようになり、そこまでできた段階でようやくCDPが業務に定着できた、と言えるようになると思います。
なるほどです。もちろんこれは簡単は話ではないと思いますが。
はい、DataCurrentではこれまでCDP利用定着の支援も何度も行っておりますので、もしその段階でサポートが必要な場合でも気軽に相談をいただければと思います。
今回は思った以上に組織に関わる話というか、よりCDP利用の根本のところのお話を聞くことができたのかなと思います。
Mさん、貴重な話をありがとうございました!
● まとめ
- CDP利用における最大の失敗パターンは「導入したが使われなくなってしまった」
- この事態に陥るとコストの面でも事業の質の面でもマイナスが大きい
- データを分析するだけで満足してしまったケースで陥りやすい
- CDP定着には組織のより上位のレベルでCDPの活用目的が明確に定義されているかが重要
弊社では、新規データソースの連携方法の整理や実際の連携作業、開発といったことから、既に連携しているデータのトラブル、ご相談まで幅広くサポートしています。
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