2021.10.22 コラム
CDP担当者に聞いてみた! 第1回 CDP構築ってどのくらい時間がかかるの?
● はじめに
今やデータ統合やID統合の取り組みでは必須ともいえるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)。本シリーズでは「CDP担当者に聞いてみた!」と題して、DataCurrent社CDP担当者に聞いた構築や運用にまつわるコツ・ノウハウをまとめていこうと思います。
これからCDPを使ってみたい、と考えている人や、すでにCDPを導入しているけどうまく使いこなせていない、と悩んでいる人にとって有益な内容にできればと思います。
そもそもCDPとは何か、について知りたい方は過去記事「【いまさら聞けないデータ活用】CDPって?何ができるの?」も参考にしていただければ。
● 本シリーズの担当(プロフィール)
田中 芳樹
2008年4月に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)入社。Google Analyticsを始めとしたアクセス解析ツールやKrux、BlueKaiなどのDMPの実装・運用領域を担務。2021年2月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に出向し、事業会社の基盤構築・運用やオーディエンスデータの連携を担当。
● 第1回 CDP構築ってどのくらい時間がかかるの?
1:構築のプロマネ経験者に聞いてみた
いざCDPを利用しようという時、絶対に避けて通れないのが構築・導入という段階ですね。ここが重要なのは間違いないです。
例えばCDPで顧客データの一元化を目指すとして、CRMとか、Webサイトとか、あちこちに散らばるデータをしっかり取得して、集約して、その後分析をしたり、コミュニケーション施策に利用したり、スムーズに運用できるようになるためには最初の設計が重要だというのは想像にかたくありません。あるいはそこのハードルが大きいためにCDPの導入を躊躇している、というケースさえあるのかも。
なので、実際CDPの構築・導入にはどれくらい時間がかかって、どのような準備・手順必要なのか、一度整理をしてみたいと思います。ここがある程度クリアになれば、CDPを使ってみよう、という前向きな気持ちが生まれるかもしれません。
そしてせっかく整理するのであれば、詳しい人に聞いてみよう、ということで、これまでCDP構築の進行管理を何件も担当してきた同僚のOさん(仮名)を捕まえて、あれやこれやと質問をしてみました。
2:実際どのくらい時間がかかるんですか?
さっそく今回の本題をド直球でOさんに質問してみました。Oさんの答えはというと、
大雑把に言って、構築には早ければ2ヵ月程度~半年くらいかかります!
※トレジャーデータなどのSaaSで構築を行う場合。スクラッチ開発の場合はもっとかかるかも。
とのこと。ふむふむ、結構振れ幅があるんですね。
これはやっぱりCDPで何をするのか、目指す内容で必要な時間が変わってくるということなんでしょうか。
おおむねその通りです!
例えば、CDPの構築でもっともシンプルな活用形式は、
—————————————————
● 自社Webサイトの顧客アクセスログデータ
+
● CRMにある顧客の登録データ
を組み合わせ ⇒ マーケティング施策を最適化する
—————————————————
の形になるのですが、このシンプルな形式でスムーズに進んで2ヵ月強というところだと思います。
なるほど。確かに、CDPではやろうと思えば色々なシステムとデータ連携をすることも考えられますよね。
データ取込みでは、Webサイト以外でも商品マスタやコンテンツマスタ、オフラインデータソースとの繋ぎこみもありますし、データ送信の連携ではメール配信システムとか、コンテンツ表示システムなども考えられます。
何をどこまでやるか、によってかかる時間も大きく変わってくる、ということなんですね。
はい、なので要件定義がとっても大事になってきます。
3.要件定義が大事
どうして要件定義が大事かと言うと、どういう施策をやっていきたいか、どういう分析をしたいかでCDP内におけるデータの持ち方が逆算で決まってくるからです。
そして、データの持ち方が決まることで、データの取得の細かいルールが決まってきます。
あ、これはアクセス解析の実装をしていた経験があるので私もわかるかもしれません。実際データを扱う段階になって、
「必要なデータ項目が足りてない」
みたいなことが発覚すると、Webサイトのタグ実装だったら、
- 計測タグ改修
- タグの差し替え
- アクセスデータの計測し直し
になってしまってロスが大きいですよね。他システムからのデータ連携の話だと、
- 連携設定の修正
- データ連携の再テスト
などが発生してしまいそうです。
はい、CDPの構築・導入はどうしたって初めての経験になることが多いので、そういう落とし穴にはまりがちかもしれません。
経験のあるパートナーの力を借りるのも1つの選択肢だと思います。
私達はヒアリングシートなどを用意して、スムーズに構築が進められるような準備を整えています。
4:構築期間を短くするためのコツは?
ただそうは言っても、CDPでやりたいことは沢山あるけど構築期間は短くしたい、という声も大きいと思います。そのためのコツみたいなものはあるのでしょうか?
そうですね、CDPはどうしても契約してからでないと構築に手を付けることしかできませんが、CDPに連携するシステムやデータの情報を事前に整理しておくことによって、構築をよりスムーズに進めることができるようになります。CDP契約前から手が付けられる内容なのでオススメです。
例えば――
< やっておきたい事前準備 >
その1.連携するツールとそのデータ出力・取り込み仕様の洗い出し
- CDPに連携したいツールをリストアップしておく
- それらのツールからCDPへデータを出力する、あるいはCDPから受け取る方法を把握しておく(APIがあるのか、クラウド環境を用いるのか)
- クラウド環境であれば自社で用意が可能かどうか(アクセスIPアドレスの制御も含め)このあたり、複数部門での対応が必要になることもあるので整理しておく
- やり取りするデータのファイル形式は何が可能か(csv、tsv、圧縮はgz、zip、等々)
その2.連携したいデータとその連携タイミングをあらかじめ想定
- CDPと連携したいデータ項目をリストアップしておく
- 連携の周期を想定しておく(日次、週次、月次、等々)
- 連携データの更新方法を整理しておく(都度上書きなのか、更新分の追加なのか)
その3.データ取り扱い周りのポリシーを整理しておく
- CDPで行おうとしている施策は、現在顧客に提示しているプライバシーポリシーで十分カバーできているかを整理しておく
- CDPへ連携したいデータのうち、ハッシュ化などマスキング処理をかける必要があるものを整理しておく
――というような情報が整っていると、CDPの要件定義がとても進めやすくなりますし、いざCDPが利用できるようになったタイミングからスムーズに構築フェーズに移ることができるようになると思います!
なるほど。他ツールと連携を行うものだから、連携する側のツールやデータの情報を予め整理しておくのが良いのですね。
Oさん、色々と教えてくれてありがとうございました!
● まとめ
- CDP構築にはだいたい2ヵ月強~半年くらい必要
- やりたい施策や分析内容でCDP内のデータの持ち方が逆算で決まるため、要件定義が大事
- スムーズな構築のためには連携するシステムやデータの情報を予め整理しておくとよい
弊社では、新規データソースの連携方法の整理や実際の連携作業、開発といったことから、既に連携しているデータのトラブル、ご相談まで幅広くサポートしています。
お困りごとございましたらお気軽にご相談ください。
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本件に関するお問い合わせは下記にて承ります。
株式会社DataCurrent
info@datacurrent.co.jp