Column

コラム

ID5 IDの活用:分析軸

はじめに:Cookie規制とユニバーサルID

2024年7月22日(現地時間)米Googleは2025年早期にChromeにおける3rd Party Cookieの廃止を進めるとしていた方針を撤回すると表明しました。代わりに、ユーザーがウェブ閲覧全体に適用される情報に基づいた選択を行えるよう、新しいエクスペリエンスをChromeに導入しその選択をいつでも調整できるようにする、としています。廃止はしないがユーザー選択に委ねるという方針だと理解すると、今からおよそ半年後には現状の主要4ブラウザ(Chrome、Safari、Edge、Firefox)全てにおいて3rd Party Cookieが縮小され、リターゲティングを始め広告配信や顧客分析など、従来のデジタルマーケティングに大きな影響が生じることが想定されています。

<主要4ブラウザのCookie規制状況>

※「日本のシェア率」はstatcounterより作成

このような背景から、弊社では3rd Party Cookieに代わる新しい次世代ソリューションを検討し、その1つとして注目されているユニバーサルID「ID5社が提供する ID5 ID」を選択し導入しております。

※リリース記事はこちら

検証目的

本コラムでは弊社のログデータに対して、パネルデータを用いて、従来の識別方法(3rd Party Cookie)と代替ソリューションであるユニバーサルID(ID5 ID)の分析比較を行い「ID5 IDは3rd Party Cookieに代わる新しいソリューションたり得るのか?」という検証を行います。

集計方法

本コラムの分析は「WB値(ウェイトバック集計)」=回収されたサンプル(標本)を母集団の構成に合わせて集計する方法を採用しております。母集団と回収サンプルの構成比が異なる場合、属性の抽出率や回収率の違いを補正・母集団構成比の復元などに使用される、国勢調査など既知の正確なデータに集計値をウエイトバックすることが多い集計方法です。

※引用元はこちら

事前準備:複合化について

ID5 IDで分析を行うための前提条件として「IDの複合化」をしておく必要がありますが、複合化の詳細については弊社のコラムを参照ください。ここで言う「複合化」を端的にご説明すると「暗号化された状態のID5 IDをAPIで複合=同一人物であると特定させる」事を指します。

※ID5 ID複合化コラム記事はこちら

今回利用したデータ

利用データ

分析結果①:デモグラ(性別・年代)

先ずはデモグラの分析です。Cookieの弱みとして「保有できるブラウザに大きな偏りがある」事から「若年層が取り込めていないのでは?」は周知の仮説ですが、下の図を見てみます。

デモグラ(性別・年代)

このデモグラ分析結果を見ると、Cookieに比べてID5 IDの方が全体的な増加傾向が確認できます。また、Cookieでは補完しきれなかった10~20代の若年層を補完している点も確認ができました。40代以上の年代層についても、ID5 IDではより広く補完しており、Cookieを上回る精度で計測可能である事が分かります。

分析結果②:サイト訪問者(UB)

次にサイト訪問者の補足数(UB)をベースにした分析です。Cookieでは保有できるブラウザに大きな偏りがあると前項で述べましたが、端的に言うと「Chrome以外は制限されている」事から「Safariユーザー」はほぼ取り込めていないという課題があります。

サイト訪問者の補足数(UB)
サイト訪問者とパネルデータの突合数(UB)

こちらの分析結果を見てもデモグラ同様、Cookieに比べてID5 IDの方が全体的に増加しており、サイト訪問者のUBは「約4.3倍」パネル突合数は「約1.4倍」と右肩上がりの状況が確認できます。

サイト訪問者とパネルデータの突合数(UB)<ブラウザ別>

ブラウザ別で比較してみると、CookieではChrome以外のブラウザはほぼ計測できていない傾向に対して、ID5 IDではブラウザの隔たりなく計測できつつ、特にSafariについては「約28倍」の突合率と大幅な増加が確認できます。その他ブラウザ(Edge、Firefox等)についてもリーチが拡大している点、驚きと施策活用への期待を感じています。

まとめ

分析結果を総じて検証結果をまとめると・・・

  • Cookieに比べてID5 IDは同等以上のボリュームが計測可能!
  • Cookieに比べてID5 IDはブラウザの偏りがない(Chrome以外も補完)!
  • Cookieに比べてID5 IDはSafariが計測可能=デバイスの偏りがなくなる!

従来の識別方法と同様に計測が出来るだけでなく、ブラウザやデバイスの偏りが無くなった点を以て「ID5 IDは3rd Party Cookieに代わるだけでなく、精度が向上した新しいソリューションたり得る」と言え「Cookieレス対策に貢献できる」と結論付けられると思います。

▼関連リンク

※ID5 ID連携のリリース記事はこちら
※ID5 ID複合化コラム記事はこちら

■DataCurrentについて

生活者主体の考え方に基づくデータ活用を推進する専門会社として2019年6月3日に設立いたしました。 CDP導入支援のみならず、データ戦略設計から分析、広告配信、データプライバシーに関するアドバイザーサービス、新事業立ち上げサポートまで お客様の課題に沿ったデータ活用推進に必要なサービスを一貫してご提供しています。

今後もDataCurrentは、データ基盤の構築支援からビジネスでの活用まで、データを起点とした戦略立案・実行をワンストップで支援し、企業のデータ活用の推進に貢献して参ります。

【本件またはリリースに関するお問い合わせ先】
DataCurrent 広報
E-mail:info@datacurrent.co.jp

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